春の管理で夏に差をつける!
ベントグラスをきりりと引き締まらせるコツ
春のターフ管理の根本は「根」であるべきです。芝にストレスがたまる夏に向けて、深く伸びた根を準備してやることが決定的に大切です。健康な根があってこそ、元気のよい葉茎部、クオリティーの高いプレーイングサーフェスをシーズンの終わりまで維持することができるのです。
シーズンを通して、ベントグラスを生き生きと維持するためのヒントを以下に述べてみます。
- エアレーション
根が活発に成長するためには、通気と水はけのよい土壌が必要。これを維持する最も優れた方法は、中空コアによる穴あけ作業と目土による穴の埋め戻し作業です。夏が来る前に水はけを改善し、十分な通気性を確保するという点で、春はエアレーションに適した季節です。しかも、ベントグラスが旺盛に成長する時期でもありますので、作業後の回復が早いという利点があります。
- 施肥
窒素は植物の成長に欠かせない栄養素ですが、投与量が過ぎると植物は根の成長を犠牲にして葉茎部の成長ばかりを進めてしまいます。夏に備えて根の成長を促進するには、おおまかに年間の窒素投与量の 1/3 を春の間に施します。根の成長にはリンも重要です。通常は不足にならない栄養素ですので、投与については春に土壌分析を行って判断することをお勧めします。カリは、夏のストレス耐性向上に不可欠。投与量は窒素の 75 %~ 100 %が標準的です。
- 散水
この季節、散水はターフが十分に乾くまで控えるべきです。早め早めの頻繁な散水は、根を浅くしてしまう恐れがあります。散水が必要になったら、ルートゾーン全体が深部までたっぷりと水を含むように散水し、その後はターフが萎れる直前まで水を与えないでおいて、根を地中深く成長させる「根のトレーニング」と呼ばれる方法をお勧めします。
以上を簡単にまとめると、根の活発な成長に必要なのは次の3つです。
・土壌の通気と透水性
・根の成長がおろそかにならない栄養管理
・根を地中深く成長させる、間隔をあけたたっぷりとした散
元気なたくましい根を春に作ることができれば、そのシーズンを通してクオリティーの高いグリーンを維持できる可能性がぐんと大きくなるのです。